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口腔がん

がん治療で口腔ケアを

がん治療によって起こる口腔粘膜炎などの口の中の合併症は、患者の生活の質(QOL)を大きく損なう。その症状を軽減するため、口腔ケアが注目されている。道内でも、がんの治療機関と歯科医とが連携する動きが出始めている。

〜道歯科医師会が病院と連携ヘ〜

生活の質 悪化を防ぐ・感染軽減、入院短縮も

抗がん剤や放射線治療では、副作用として重い口腔粘膜炎の発症や唾液腺機能の衰えのため、口腔内が乾燥するなどの合併症が現れることが多い。
 米国立がん研究所の報告では、抗がん剤治療を受けた患者の約40%、口の周りに放射線を照射する頭頸部がんの患者では100%に、それぞれ口腔の合併症が起きるとされている。
 抗がん剤で起こる口腔粘膜炎は通常、一時的なものだが、炎症による腫れや痛みは食事を困難にし、治療効果を下げ、患者のQOLも大きく損なわせる。口腔が乾燥すると唾液による自浄作用が失われるため歯垢がつきやすくなり、歯周病や虫歯を起こしやすくさせる。また、がんの治療中は免疫力が落ち、歯や入れ歯の汚れの中にいる細菌が原因で感染症を起こすこともある。
 こうした合併症は口腔内の状態が悪い人に起こりやすい。だが近年、がん治療の前に歯周病や虫歯の治療、歯石の除去などを行い、口腔内を清潔に保てば、口腔の合併症を軽減できることが明らかになってきた。
 がん手術の前に口腔ケアを行うことで、術後の感染や発熱を減らし、入院日数を短くすることができるとの報告もある。もちろん、治療中や治療後も歯磨きなどで口腔内を清潔に保つことが大切だ。
 ただ、病院内に歯科医がいて口腔ケアを行える施設は少なく、対応できる患者の数も限りがあるのが現状だ。このため「歯科医との連携が欠かせない」と北海道歯科医師会の紺野純一・公衆衛生担当常務理事は語る。
 こうした問題を解消しようと、日本歯科医師会は国立がん研究センターと連携。同センターから紹介された、がん手術を受ける前の患者に口腔ケアを行う事業を今月中にもスタートさせる。当面は東京と周辺の4県が対象だが、将来は全国に事業を拡大していく方針だ。
 道歯科医師会も取り組みを始めている。2月にはがん治療と口腔ケアの先進的な取り組みを行っている静岡県立静岡がんセンターの大田洋二郎・歯科口腔外科部長を講師に研修会を実施する。
 2011年度はがん診療連携拠点病院との連携体制の構築と、歯科医の理解を深めることを推進する方針で、「12、13年度のうちに事業をスタートしたい」としている。
 口腔ケアを自分のかかりつけの歯科医に行ってもらうことは、患者にとって安心で、通院の負担も少ない。紺野常務理事は「歯科医の専門性を生かして、がん治療の一助になりたい」と話している。
(2011/01/19 北海道新聞より)

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